日本共産党流山市議団
いぬい議員の活動
ジェンダー平等について市長に質問しました。(2019年9月議会)
 1月の党大会で「ジェンダー平等」を綱領に書き加えたことに注目が集まっています。
9月議会の一般質問では、昨年6月に日本共産党が発表した政策「個人の尊厳とジェンダー平等のために」を当局に届け、市長に一般質問しました。
 質問では、わが党の政策についての感想を聞くとともに、今や世論調査で6割が賛成する「選択的夫婦別姓」について、また、多様な性のあり方を認める「パートナーシップ条例」の制定について市長の見解を聞きました。市長の答弁は、自らの見解を示さないなど十分なものとは言えませんが、今後の議論の出発点にはなったのではないかと考えています。以下に、質問と答弁を紹介します。

*************************************

◆27番(乾紳一郎議員) 

 それでは、通告に従って一般質問を行います。
 最初に、1、市長の政治姿勢を問うの(1)日本共産党は今年6月、「個人の尊厳とジェンダー平等のために」との政策を発表し、誰もが自分らしく生きられる社会を目指す取り組みを始めているが、本市としてもさまざまな取り組みが行われており、引き続きその強化や啓発が必要と考えるがどうかについて質問します。
 7月の参議院選挙は、各党に候補者を男女同数とする努力義務が課せられた政治分野における男女平等参画法が施行されて初めての国政選挙でした。今、性暴力やハラスメントに抗議の声を上げる#MeToo、#WithYouの波が世界に広がっています。性の多様性を認め合い、性的マイノリティーへの差別をなくす運動も年々大きくなっています。その一方で、男女平等のレベルを示すジェンダーギャップ指数で日本は149カ国中110位という深刻な実態であり、最近は性暴力やセクハラ被害を告発した女性へのバッシング、さらには医科大学での女子受験生減点など許しがたいことが起きています。我が党は、勇気を持って抗議の声を上げた人たちを決して孤立させず、また声を上げずに苦しんでいる人たちの痛みを我が事の痛みとしてともに戦っていく決意であります。
 地方自治体においても男女共同参画社会の実現を目指して、さまざまな取り組みが進められています。最近では、千葉市など、性的少数者、LGBTの権利を守る動きとして同性パートナーシップ条例を制定する自治体も増えています。また、特定の国籍や民族に対するヘイトスピーチを解消するための条例を制定する自治体もあります。こうした新たな状況を踏まえて、流山市における個人の尊厳とジェンダー平等のために今何が必要なのかについて、以下2点質問します。
 第1に、我が党が発表した「個人の尊厳とジェンダー平等のために」の政策は、?として憲法が定める男女平等の実現、?として性暴力やDVを許さない、?としてハラスメントに苦しむ人をなくす、そして?としてLGBTに関する差別をなくす、そして?として在日外国人の権利を守り、ヘイトスピーチの根絶を目指す、いずれも誰もが尊厳を持って自分らしく生きられる社会へ進んでいくための提案ですが、市長はどのような見解を持っていますか。


◎井崎義治市長 

 私からは、1、市長の政治姿勢を問うの(1)個人の尊厳とジェンダー平等への取り組みとその強化や啓発の必要性についてお答えします。
 去る7月21日に実施された第25回参議院議員通常選挙においては、男女共同参画を推進するために制定された政治分野における男女共同参画の推進に関する法律により、男女の候補者の数ができる限り均等となるよう内閣府特命大臣からの働きかけがありました。これは、我が国が国政選挙において積極的改善措置、ポジティブ・アクションが必要な状況であると言えます。
 本市では、流山市第3次男女共同参画プランを策定し、「男女がともに人権を尊重し、個性と能力を十分に発揮できる流山をめざして」の基本理念のもと、男女共同参画社会の実現に向けて取り組んでいるところです。提案されている個人の尊厳とジェンダー平等の実現に向けた取り組みは、さまざまな立場の方や困難な状況に置かれた方が人として尊厳を持って自分らしく生きられる社会を形成する上で非常に重要であり、継続して取り組むべき課題であると認識しています。
 流山市第3次男女共同参画プランでは、さきに申し上げた基本理念に4つの基本目標、10の基本的課題、29の施策の方向、93の事業内容を定め、さまざまな取り組みを行っています。毎年度事業内容をもとに担当課がそれぞれ事業予定を組み、140の施策事業を展開しています。プランの進捗状況を管理するため、事業内容の指標を定め、数値目標が設定できるものは目標値を設定し、検証を行っています。取り組みの成果の一例として、まちづくり達成度アンケートの男女が平等に扱われていると思う市民の割合は、平成27年度では21.4%だったものが平成30年度では35.2%と上昇しているものの、目標値とした40%には達していません。しかし、平成27年度から平成30年度の4年間の取り組み全体の結果を審議会に報告したところ、概ね目標を達成できているとの評価をいただいています。
 今後の課題としては、固定的な性別役割分担意識の改革や男女共同参画推進のための環境整備と捉えています。また、現在次期第4次男女共同参画プランの策定作業を行っており、昨年8月24日に男女共同参画審議会に諮問し、6回の審議会を経て今年6月3日に答申をいただいたところです。答申書では、男女間の不平等の解消に向けた施策の推進をするよう、また性別にとらわれない互いの性や人権を尊重した意識づくりについて、特に配慮して取り組むよう御意見をいただいています。答申を踏まえて、今年度中に第4次プランを策定し、今後も施策事業において男女共同参画に率先して取り組むとともに、市民の皆様へも引き続き広く働きかけていく必要があると考えます。
 本市の審議会委員や幹部職員への登用状況については、審議会への女性の登用率は平成27年度は35.7%でしたが、平成30年度は37.5%に上昇しているものの、残念ながら目標値である40%には達しませんでした。一方、審議会全体の中で女性のいない審議会の割合については9.1%で10%以下という目標を達成しています。課長補佐級以上の女性管理職の登用率については、平成27年度は13.9%でしたが、平成30年度は16.6%に上昇しました。
 ハラスメント防止のための取り組みについては、毎年管理職向けにハラスメント防止研修を実施し、意識の向上を図っています。また、今年度の男女共同参画にかかわる職員研修においてもハラスメントの防止に向けた研修を実施する予定です。


◆27番(乾紳一郎議員) 

 それでは、再質問として市長に2点質問します。
 第1は、選択制夫婦別姓についての問題です。今この問題は、民法改正の焦点になっています。夫婦同姓を法律で義務づけている国は世界で日本だけでありまして、国際連合の女性差別撤廃委員会も女性差別で規制すべきだと勧告をしているものです。結婚時に改姓する例は圧倒的、9割が女性なのですけれども、仕事上さまざまな不利益を受けているたくさんの女性がいるということで、この点については市長の見解を伺います。
 もう一点は、これは地方自治体の努力の問題ですが、同性パートナーシップ条例、先ほども1回目の質問でも紹介しましたが、この条例、制度が急激に今広がっています。性的マイノリティーに対する差別をなくす運動が今社会を大きく動かしている中で、同時に多様な性のあり方への無理解や偏見に苦しみ、自尊感情を育てることができずにいる子どもや若者たちの問題など、まだまだ克服すべき課題が多くあります。そこで、2015年に東京都の渋谷区、世田谷区でスタートし、全国では今年の7月1日には20自治体に広がってきたこの同性パートナーシップ制度、これを流山市でも検討する時期に来ているのではないかと考えますがどうか、お答えください。


◎井崎義治市長

 再質問にお答えいたします。まず、選択的夫婦別姓についての考え方ですけれども、現在の民法では婚姻により夫婦は姓を同一にすることになっており、性別にかかわらず、姓を変更する方には変更手続の負担だけでなく、姓の変更を強制されることが心の負担になっているものと認識します。自らの旧姓を使用したいという声を受けて、今議会に関係議案を提出しておりますが、今年11月5日から住民基本台帳法が改正され、住民票や個人番号カードに旧姓の併記が行われるものと思います。明治以降、夫婦あるいはその子どもは同一の姓を名乗る制度となっていますので、今後国民的な議論を深めていくべきものと考えます。
 次に、パートナーシップ条例の制定についてお答えします。人として愛する人とともに過ごしたいと願うことは、日本国憲法第13条の幸福を追求する国民の権利として尊重されるものであり、そこには性別による区別は存在しないと考えます。既にパートナーシップ制度を設けている自治体があり、独自の考えに基づいた取り組みは評価いたしますが、民法で規定される婚姻関係でなければ配偶者控除や特別養子縁組制度の適用を受けることはできず、パートナーシップ制度の実効性は、現在のところ非常に制約的であると考えており、今すぐに制度化に向けて着手する考えはありません。


◆27番(乾紳一郎議員)
 再質問は行いませんが、パートナーシップ条例の問題でいえば、市長がおっしゃったように第13条の人間の尊厳、それから幸福追求の権利の立場からすれば、性的マイノリティーであっても差別をしないということが日本国憲法の立場だと思います。諸外国、特に夫婦同性婚が今アジアでも台湾で広がっていますし、オーストラリアなどでも最近なっていますけれども、そういう国々の中では地方自治体でパートナーシップ制度が広がっていく、それで認知、国民の中の共通の認識に広がっていくという。今市長は、実際には余り効果はないのだみたいな、そういうお話でしたが、そういう立場ではなくて、こういう制度が広げることによって性的マイノリティーの問題というのが皆さんの共通認識になっていって、人間同じなのだという、そういう土壌をつくるということをぜひ理解をしていただいて、市民の中でもぜひ議論をしていただきたいというように要求しておきます。
 それから、人間の尊厳との関係で、我が党の政策の中にも外国人への差別、ヘイトの問題を取り上げています。今徴用工問題をめぐる日韓政府の関係悪化によって、テレビ、週刊誌などメディアで大量のお隣の国に対するバッシングが報道されています。SNS上では、聞くに堪えない悪罵、ヘイトが広がっており、在日の人たちの不安をかき立てているという状況です。我が党は、国籍や民族を理由として人権を制限すること、差別することは許されないと、そういう立場だということを改めて訴えてこの質問を終わります。

ページのトップに戻る  いぬい議員の活動