日本共産党流山市議団
小田桐議員の活動

24年第3回定例会最終日 討論

昨日、24年第3回定例会が閉会しました。
3つの討論を行いました。

■議案第60号 令和5年度一般会計歳入歳出決算認定に対する反対討論

 日本共産党を代表して、議案第60号 令和5年度一般会計歳入歳出決算認定について、反対の対場から討論します。
 まずR5年度は、世界的パンデミックとなった新型コロナウイルス感染症も、感染症法、2類から5類へ移行され、公的対策は縮小・廃止される一方、30年にわたる経済の停滞と衰退のもとで、相次ぐ物価高とエネルギー高騰からくらしと経営を守る政治の姿勢が強く求められた。24年1月1日に発生した能登半島地震では、相も変わらない被災者の厳しい生活実態を 目の当たりにし、国民的関心が高まりました。
 また本市独自では、年度初めに市長市議選が実施され、井崎市長は6選目を果たしたものの、投票総数のうち井崎市長の名前を明記した割合は49.9%、全有権者規模では23.1%に留まるなど、マスコミで市政の取り組みが報道されるほどの期待感は盛り上がらず、市民の冷めた目が色濃く示された結果と我が党は捉えています。
 その背景の一つに、豊かな財政力を生かし、高まる市民要望に十分こたえなかった姿勢があると考えます。
 実際、R5年度の決算の概略を見ると、歳入では、940億7千万円と過去最大規模を更新し、10年前の2倍となりました。また、歳入の中心を担う市税収入は346億7千万円と、10年間で100億円の増額となるなど、増加率は県内でもトップクラス、豊かな財政力がある事を示しました。いっぽう歳出では、906億1千万円と、初の900億円越えとなったものの、使い残した「不用額」は30億4千万円、歳入・歳出差し引きし、さらに翌年度への具体的事業への繰越を除いても23億6千万円の巨額な余剰金を生み出したものの、市民のくらし、福祉、教育に大きな喜びを広げることができませんでした。
 そこで以下、4点、具体的施策を指摘します。
 第1に、自然増で高まる扶助費の需要にも、緊急的な物価高、エネルギー高騰対策にも、豊かな財政力が活かされなかったことです。
 人口増加・高齢化の進展等により増加する「扶助費」は267億7千万円と、歳出総額の29.5%を占めたものの、その8割弱を国費等が占め、感染症対応の教訓はもとより、扶助費拡大に向けた市独自の拠出は限定的な支出にとどまりました。同様に、物価等高騰対策でも、事業費は265億8千万円と、歳出総額の29.3%を占めましたが、そのうち純然たる市負担額は約5億円弱と、物価高騰対策の1.8%、歳出総額の0.5%しか確保されませんでした。
 まず扶助費では、「認知症基本法」がR6年1月1日施行され、厚生労働省の試算では、重軽症の違いはあれど、2025年には高齢者のおよそ5人に1人の認知症を「懸念」しなければならない時代です。また一人くらし高齢者の孤立死・孤独死への対応策は、地域見守り活動の「懸念」材料の一つでもあります。ぐりーんバスや福祉タクシー、免許返納支援など移動の権利の確保は、市民要望の高まりに加え、運転手不足などの社会構造の変化があり、自治会ぐるみでも、議会の議員質問でも「懸念」が相次いで指摘されても、なかなか前に進みません。
 物価等高騰対策でも同様です。支給された市民や指定管理者からは、大変好評で、「助かった」という声が聞かれましたものの、経済振興部関係では全体で5千万円にも届かず、対象も限定的にとどまりました。また入院機能を有する医療機関では、赤字部門の救急医療や入院給食の経営赤字がさらに大きく膨らむ下でも、1円も対策費が盛り込まれませんでした。物価高騰対策以外に、量と質を確保しながら、家計の負担を据え置いた学校給食の賄費増額分約760万円にも取り組んだことは評価しますが、やっぱり市独自の経費負担は限定的で、1人当たりの賄費増額、年間3300円のうち231円分が市の負担で、総額でも市負担は56万円しかありません。
 歳出合計906億円もある本市で、福祉でも物価対策でも、100万円、200万円の枠ですら、使いづらい。その一方で、おおたかの森センター地区道路の再整備事業、いわゆる「いざきロード」と市民が揶揄する道路の再整備はおカネに糸目をつけていません。人と車の交錯が「懸念」されるとし、市民要望がなくとも、行政上の不都合がなくとも、井崎市長時代に整備した歩道付き相互交通の道路を、一方通行の道路へ再整備するために5億円を投入します。1m当たり整備費105万円は、今後の資材や労務単価の高騰でさらに値上がりするでしょう。少なくとも2期工事はやめるとともに、特に暮らしに直結する物価等高騰対策に今の2倍、3倍に力を注ぐべきと指摘します。
 第2、防災対策や公共施設の長寿命化に大きな課題を残したことです。
 R5年度は防災計画の改訂し、震災による避難者想定を2万5千人から1万人へ、6割も削減しました。しかし避難者数激減の理由とした住宅の耐震化の向上は、その98%が、井崎市長就任前から計画されたTX沿線で、市民が全額身銭を切って新築住宅を建設したからであり、市としての防災対策の強化を市民は実感していません。ましてや能登半島地震を受け、災害対策に要する事業費について、当初予算から2500万円を増額補正したとはいえ、歳出全体の補正予算額82億6千万円のたった0.3%に過ぎず、市民には見えていません。公的避難所へのかまどベンチやマンホールトイレ等整備100%、福祉避難所における財政支援、水害に対する一時避難所開設基準の改善等、計画の見える化を図るとともに、市民の命と財産を守るために、前倒し実施が欠かせないと指摘します。
 また、小中学校校舎の新増設が最終年度となった教育費は65億1千万円と、10年前の7倍になったものの、校舎等老朽化施設への対応は、悪くなる前に計画的・積極的に関与し、急激な経費増を避ける「長寿命化」の取り組みの強化が欠かせないと指摘します。
 第3に、「子育てするなら、流山市」という共通した願いに、不安と混乱を広げたことです。
 特に、市長選でも約束していない附属幼稚園廃園方針の押し付けは、大きな混乱と不安、反発を広げました。そもそも将来を担う全ての子どもの健やかな成長は市民共通した願いです。そのために、幼稚園・保育園・子ども園など施設の違いや、公立・私立など運営方法の違い、また教育・福祉という行政上の所管の違いではなく、子ども一人ひとり、誰ひとり取り残さないために、全ての施設が必要不可欠な施設です。
 しかも、市内で唯一となった公立の附属幼稚園は、R5年度で創立64年目、2万人を超える卒園生を生み出し、千葉県でも「幼・小接続期プログラム千葉県モデル」の「実践協力幼児教育施設」として県内5施設のうちの1施設に位置付けられるほど自慢の教育実践施設の一つでです。それなのに教育委員会議は、表決に固執し、接続期プログラムに向けた提言や全庁的な組織立ち上げの提言など何もできなかった。さらに事務局である市教育委員会は、表決だけを求め、事前に必要な市幼稚園協議会の議事録全てを各委員に提出していないことも明らかになりました。民意を反映させる努力もせず、単なる市長の意向にそう表決機関としか見ない教育委員会議では、保護者や市民、地域の不安払しょくはもとより、総意を得ることが困難でしょう。歴史の汚点として、強く猛省を求めます。また、附属幼稚園については廃園方針を撤回するか、少なくとも、市民・地域・保護者の不安を払しょくできる教育実践の成果が得られるまで、廃園方針を押し付けないよう強く指摘します。
 また小児救急は、危機的という言葉とは裏腹に、市の負担金は6年間据え置き、1円も増額していません。結果、R6年度には受入時間の大幅削減を招いてしまいました。小児科医の不足は今に始まったことではありませんし、本市だけの問題ではありません。しかし、コロナワクチン接種に向け医師確保に尽力したように、後1億円、市民一人当たり510円あれば、時間当たり市負担金は6千円から、2万6千円に引き上げられ、少なくとも深夜勤務の医師一人の時給は全額確保できたのです。これは、人口誘致された夫婦共働き子育て世帯への裏切りでアリ、子どもの命への軽視です。子どもの命へのシワ寄せという最悪の結果を打開し、少しでも安心安全を広げるために、小児救急をはじめ、救急医療への市負担額の抜本的増額が必要不可欠だと指摘します。
 この2つの子どもに係る施策は、初予算から3.8倍化、6億円にまで膨れ上がらせているツーリズムを少し見直すだけ維持・改善できます。特に、無理やり、拙速な成果を求めるあまり、流山版DMOへの公費投入は、R5年度6千万円弱、6年度8千万円強にも膨れ上がり、来年度以降1億円を超える見込みです。抜本的転換を強く指摘します。
 最後に第4、行政運営への信頼が崩れ始めていることです。
 旧割烹新川屋の改修費5億円への反発は大変強く、そもそもなぜ購入したのか、購入前になぜ建築技師を含めた専門家でチェックしなかったのか、疑問の声は我が党にも届いています。R5年度中に「ゼロベースで見直す」を表明した市長の判断は尊重しますが、その見直しの状況も、方向性も不透明さは変わっていません。ぜひ市民の支持が得られる努力を求めます。
 その他R5年度、不要な混乱を招いたのが、事業系ごみの出し方変更です。質疑でも、予算含め全ての議案とは関係もせず、パブリックコメントもなく、議会へは事後報告のみ、そもそも当初予算上は予定になかったことがハッキリしました。また、その際の影響も組織横断的に十分に詰められていなかったことも明確になりました。しかも、この制度変更に伴う市の経費は印刷代など55万円に対し、市内ではコンビニたった1ヶ所だけで月6万円、年間72万円の負担増、保育に係る全施設で年間6千万円もの負担増、自治会は夏の納涼祭のごみ処理だけで6万円、、、私たちに寄せられた例だけでも、大変な経費増を求める仕組みを求めてしまっています。この間、議会のやり取りでは、県からの流山市を特別視した指導はないこと、県としても制度変更をしていないことは市クリーンセンターも、我が党議員がいる前で、一緒に確認しているはずなのに、いまだに言い訳として持ち出しています。そうであるならば、制度変更前のR5年度は法違反を、どんな形で、いつ指摘され、どういう改善を千葉県から本市が求められたのかを議会や市民に具体的に明示すべきでしょう。またそのトップである市長は改善するべき点がなぜ残っていたのか、何故改善できなかったのかの反省点を明確にすべきですが、これまで全て、一度も明示していません。
 一般家庭の収集運搬に係る許可書そのものも、行政上の一方的な理由で、年度末ギリギリにならないと発行していなかった高圧的姿勢を踏まえれば、少なくとも、事業系ごみの出し方変更に伴い、自治会ならコミュニティ課が、事業者なら商工振興課が、保育園なら保育課が、市との委託契約なら財産活用課が聞き取りや要望を集め、全庁的な協議を行い、信頼される行政運営に努めるべきと指摘します。
 そのためにも、東葛地域の平均と比較し、人口比で290人近くも職員数が少ないの実態改善は待ったなしです。R5年度、一般職+再任用職員を含む一般会計上の職員人件費は、R5年度107.4億円と、10年前から22億4千万円増加しいますが、歳出合計に占める割合は17.9%から、11.9%へ大幅に圧縮されており、少数精鋭による過重労働がまん延している恐れが強まっています。また一般会計上、職員一人当たりの歳出額は、10年前4900万円、5年前は5500万円弱、そしてR5年度は7800万円にも膨らんでいます。1円単位で、様々な実務、各施策の調整、関係団体との調整、公費の出し入れが伴うことを考えれば、日常不断から本市では、災害時のような、長時間過密労働が強いられていると大変強く危惧するものです。適正な人員増員を早期に図り、全庁・組織横断的に市民福祉の増進に総力をあげられる組織へと改善・転換すべきと指摘し、議案60号への反対討論を終わります。


■発議第19号、指定廃棄物の長期管理施設の早期確保を求める意見書への反対討論

 発議第19号、指定廃棄物の長期管理施設の早期確保を求める意見書については、日本共産党を代表し、反対の立場で討論をします。
 平成23年3月11日に発生した東日本大震災にともなう東京電力福島原発第1発電所の過酷事故により発生した放射性物質に高濃度に汚染した廃棄物や焼却灰についての保管は、保管等の対応は本市のみならず、大きな課題であり、発議案で示す通りです。
 またその対応として国と、第一義的には東京電力が、より高度な専門性を持ち、そして継続的で、より安全な対応を図るため、県内各地の分散保管から、県内一括保管へ切り替えていく方向性も、発議で示す通り、妥当なものと捉えています。
 しかしながら、今意見書に賛同できない点は、千葉県内の長期管理施設の詳細調査候補地が示されたものの、その後十分な調整はおろか、候補地の理解と納得が得られていない状況だからです。
 東京電力福島第1原発の事故は、当初から指摘・懸念された通り、十分な備えと、万全な対策を講じていれば防げた可能性があるといわれていることから、引きおこしてしまった東京電力及び原発をやみくもに進めた国の責任を問うために、千葉県民が一致団結するべき時に、発議を今あげ、候補地へ無理や市押し付けることは、反発を広げ、県民の間に亀裂と対立を生んでしまうことが大変強く懸念されることから、今発議には反対とさせていただきます。

■陳情第11号、政党機関紙の庁舎内勧誘行為の実態調査を求める陳情書への反対討論

 陳情第11号、政党機関紙の庁舎内勧誘行為の実態調査を求める陳情書に対しては、反対の立場から討論します。
 まず、実態調査やアンケートという言葉は耳障りはいいですが、任意であっても、職責者が提出毎数を数えれば、課毎の回答率が比較され、職員の内心を調査・把握する道具にもなりえることから、慎重なご判断が不可欠です。
 しかも、それが行政職員による政党機関紙購読調査となればよりことは慎重さが必要です。2009年1月、横浜地裁川崎支部において「もとより市職員が任意に政党機関誌を購読して、各種の情報を入手し、それを職務に活かすことは最大限に尊重されるべきで、いかなる者もそれを制約することは許されないことは当然」との指摘をしています。したがって市当局も「調査をしない」と回答ました。業務時間外において、個人的に、そして信頼関係をもって政党機関紙を購読するか、しないかは、内心の自由にもかかわり、何人も規制や、批判、差別が許されるものではないと考えます。
 また陳情書には、「ハラスメント」や、あたかも強制的であるかのような記述をし、誤解を広げることを目的にしているのだろうかと思われる節もありますが、市当局としては「ハラスメントは聞いていない」としましたし、もしそのようなことがあれば対応するとも約束していただきました。また議員には言いづらい場合も否定できませんから、強制的に購読を求められたという受け止めた場合は、遠慮せず、私へご相談いただきたいと思います。過去行政内部でも発生したハラスメントの際には、誰もが口を閉ざす中でも、私自身、この場で改善を求めてきた立場ですので、風通しの良い職場環境の保持とともに、内心の自由と個人の尊厳を守り、市民に信頼される職場づくりに尽力することをお約束させていただき、陳情11号への反対討論を終わります。



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