それ以外は回収しないという家庭ごみへの指定ごみ袋導入には、やっぱり道理ナシ
今、市内各自治会では、4月の総会に向けて様々な準備が進んでいます。特に、自治会で管理するごみ集積所の当番となられる班長さんからは、指定ごみ袋のことを知らない方はもとより、それ以外のごみ袋が回収されなかった場合の対応などに、不安や混乱の声がでています。
昨日までの市議会や予算委員会等を振り返り、導入の道理や効果について、整理しますと…
(1)「燃えるごみの3割がプラごみ」の誤解
広報で繰り返されている「燃えるごみの3割がプラごみ」というのは家庭ごみではなく、事業系ごみなど全ての「燃える」と扱われたごみが混ざった状態のことで、「誤解を生じる内容だった」と担当部も認めました。
(2)増えているごみは事業系ごみ
平成25(2013)年度と令和元(2019)年度を比較したごみ総量では、家庭ごみが10%増加、事業系ごみは28%増加です。家庭ごみには指定袋の使用強制を求める一方、事業系ごみには「減量化に向けた指示はしていない」と市長が答弁しました。
家庭ごみは人口増加が理由であり、ごみ処理能力も考えず、「人口」しか見ていなかった行政の誘致政策にこそ責任があります。
個人個人の分別、減量・資源化が進まず、焼却施設に悪影響を及ぼしているわけではありませんし、小中学校で児童生徒数急増に対応できず、超過密な新設校を次々作り出してきた経過と、根源は同じです。
(3)市民のごみ減量は進んでいる。
市民一人当たりの家庭ごみ排出量を見ると、平成16(2004)年度641グラム、平成23(2011)年度606グラム、平成28(2016)年度482グラム、令和2(2020)年度504グラムと16年間でマイナス137グラムです。
1世帯当たりの家庭ごみ排出量を見ると、平成16(2004)年度1689グラム、平成23(2011)年度1479グラム、平成28(2016)年度1123グラム、令和2(2020)年度1143グラムと16年間でマイナス546グラムです。
(4)相談先の緊急通知が廃棄物減量等推進委員さんに郵送(3月14日付)されました。
ルール通り分別、減量・資源化されていても、指定ごみ袋以外は回収しないという市長と、回収するべきと主張する日本共産党と立場は真逆です。しかし、「可能な限り不安や混乱を回避・解消する」ことは市長も否定しませんでした。仮に袋が違うだけで集積所に残された場合は、自治会役員さんや廃棄物等推進委員さん、ごみ当番さんからクリーンセンター(0471577411)にご連絡いただき、対応を求めてください。
(5)定着率はいまだ不明
各ごみ集積所にも、チラホラ流山市指定ごみ袋が使用されていることを見かけます。しかし、定着率、購入状況の把握は不明です。「見切り発車」との指摘に対しては担当部長が謝罪しました。
(6)ごみ袋の価格は上がる
いまでも、「価格が高い」流山市の指定ごみ袋ですが、原油や資材等の高騰が続く中、食料品などと同じく、「値段が上がる可能性は否定できない」と担当部は認めました。
(7)流山市もCO2大量発生者に
ごみ減量で地球環境の優しいと言いながら、新たな指定袋のため、4社が海外から輸入(うち2社がベトナム製)。素材にも、輸送にも大量の石油を使用しています。市場に安く、広く、誰もが手にできる「透明または半透明」のポリ袋の使用も許容すれば、新たなCO2排出を抑えることができるんです。
また今、新潟市などでは指定袋を製造しているベトナム工場が感染症により操業がストップし、欠品が生じていますが、同じ事態を本市も迎える可能性は否定できません。
(8)指定袋導入のために新たな業務と事業費が…
指定袋の強制使用を求めるため、おむつ使用家庭への無料配布(月30リットル・2枚)が新たに始まります。年間事業費は1154万4千円、対象者は乳幼児9400人、高齢者等2200人です。0〜1才は90枚(10枚セット9袋・3年分を一括配送)、1〜2才は60枚(2年分一括配送)、2〜3才は30枚が、それぞれ住民票に基づき4月に郵送(ここでも新たなCO2発生)されます。また障害者、介護の方にも年間30枚が無償で配布されますが、申請(新たなバリアーが発生)が必要です。
また、井崎市長が以前、事業仕分けで廃止した生ごみたい肥化補助が復活します。機械式に対する補助は上限3万円で年50件、EM菌等を使用するものは上限6千円で年40件を見込んでいます。しかし8万世帯余の本市で年間90件…減量効果は???
(9)本来の業務への支障発生中
クリーンセンターの一番の業務は、何と言っても焼却炉の安定稼働です。しかし想定外の故障が発生し、家庭ごみの一部を今年1から2月、柏市で処理していただくことになりました。来年度からは、焼却炉の長寿命化を4年間かけて実施し、15年間、さらに焼却炉を使いまわします。
また、家庭ごみ等の収集運搬委託事業に係る入札(参加できる企業は市から指名された専門業者)において、落札業者からの「辞退」が発生し、急遽、委託事業者を探すことになりました。市で手が回らない家庭ごみの収集運搬が滞れば、指定ごみ袋の有無どころではなくなり、大混乱です。
この「辞退」理由は「従業員が集まらない」とのことですが、落札金額が安すぎたため、雇用条件が悪くなったのではないでしょうか?専門事業者であり、かつ、落札後「辞退」は今回で2度目。罰則として9ヶ月の指名停止といっても、委託期間の4・5年後には再び入札に参加できるのです。
指定ごみ袋だけに奔走し、本来の業務に、ましてやごみ分別、減量・資源化にも目が行き届かないようでは、どうなってしまうのでしょうか。