日本共産党流山市議団
小田桐議員の活動
一般会計決算ー反対討論
H23年度一般会計決算への反対討論です。
ご意見をお聞かせください。

 まず先月11日、大震災から1年半がたちました。いまだに約34万3千人が避難を強いられ、仮設住宅など約13万6千戸で仮住まいが続いています。警察庁によると、先月10日時点の死者は1万5870人、行方不明者は2814人、自殺を含む『震災関連死』は1632人とのことです。被災者・避難者の悲しみ、苦しみはいまだ癒えていないでしょう。関係者みなさんに、早期の生活再建・復旧・復興とともに、生きがいや心の平穏、明日への希望が持てる日が一人でも多く、一日でも早く来ることを心から願います。同時に、心ひとつにわが町でも頑張ることを表明して、日本共産党を代表し、H23年度一般会計歳入歳出決算認定に対する反対討論を行います。

 まずH23年度は、第1に、大震災と放射能への対策からどんな教訓を得て、市政にどう活かしたか。第2に、2期8年間の井崎市政はどうだったのかが問われました。結論からいえば、市民の世論と運動に押され、改善・前進はあるものの、また選挙を経て、3期目の信任を得たとはいえ、今の暮らしと営業を託せるか、16万市民の明日を任せられるのか、市民の命を守るという重責に耐えうるのか、この3点だけでも、わたくしは無理だと判断するものです。

 理由の一つ目に、市政全体では大震災と放射能への対応に、十分な深い反省が行われていないことです。
 ちょうど予算委員会総括質疑直前に大震災は起こりました。市内各地で屋根瓦が壊れ、壁が倒壊し、立ち尽くしている市民・帰宅困難者に声をかけ、支援をし続けた関係者各位、体を張って子どもたちを翌朝まで守った関係各位、本当にご苦労様でした。わが党も、地震直後から救援活動と一体で、市内へ避難されてきた方々や被災地への救援ボランティア支援も含め、全力を挙げてきました。
 にもかかわらず、本部を翌日12日には解散し、予算委員会でも決算委員会でも真摯に反省できず、いまだに自らの判断に誤りなしという態度はいかがなものか。その後の計画停電、放射能汚染による摂取制限、一時避難者への対応、そして今年の断水時と、「何にも学んでいない」と言う市民の声を、真摯にお聞きすべきと、市長に猛省を促すものです。

 また震災後の対応で、私は何度も「できることには限界がある」との言い訳を市職員からお聞きしました。岩手県南三陸町で最後まで避難を呼びかけた女性職員の奮闘、水門を閉めるために、また足の悪いじいちゃんを背中に抱え、最後まで避難を呼びかけた被災地消防団各位の奮闘はなんだったのか、全職員が今一度深く刻み、業務にあたっていただきたい。
 そもそも、「災害を想定していない」とする『定員適正化計画』は即刻見直し、一般職員も含め、市民の増加に沿った適正な正規職員数の確保へかじを切りなおすこと、質を伴わない臨時職員への切り替えは『究極の市民参加』ではなく『最悪の業務放棄』だと指摘し、改善を求めます。

理由の二つ目に、財政のゆがみが正されるどころか、大きくなっていることです。

 大災害と放射能汚染の影響で、様々な事業の延期や遅延等も起こりえます。24年度予算編成でもその影響は色濃く伺えました。
 にもかかわらず、市長の退職金1556万円は1円も減らされずに支給されました。一方で、単年度歳入歳出の差額は過去21年度10億円、22年度14憶円と比較して、20億円と大きく膨らみ、不用額は、22年度の1.5倍、14億円とにもなり、災害対策費ですら959万円もの不用額がでています。

 市長。あなたが応えるといっていた義務教育期間中ですら、学校備品の一部はPTA会費を使って整備させる。備蓄倉庫の備品の不足がわかっていながら不用額を出す。一方でそれらを合わせても大幅に超える金額が市長一人の退職金として支払われることはやっぱりおかしい。せめて今期中は退職金を凍結する条例改正を私は求めます。市長が導入した枠配当予算や、部内判断での緊急的な予算流用の弊害についてもあわせて指摘するものです。

 また、決算審査では、何度も小中併設校や体育館建替えなどの将来的な事業費増に対応という言葉をお聞きしました。そもそも災害や放射能の対応に追われているさなかに、建設費で20億円、用地費もわが党試算で10億円を上済みするような大規模併設校事業が決定すること自体に問題はあります。しかしながら市長の立場に立っても、教育・文化及びスポーツ施設整備基金にこそ積み立てすべきでしょう。
 ところが、財政調整積立基金への積立を優先している背景には、TX沿線開発における赤字穴埋めへの対応があります。西平井鰭ヶ崎地区では総事業費が31億円増の205億円となり、斜面緑地購入費6億円は別途拠出されます。さらに木地区では事業計画変更の結果、市負担金2500万円は27倍増の、13億5千万円になるとのことです。さらに両地区事業費の柱である保留地処分金収入は今後も見通しが厳しく、赤字穴埋めに税金投入が予測されます。こんな巨額な経費拠出が議会へは事後報告。市民には何も知らされていません。「情報公開 日本一」看板倒れと指摘します。

 理由の3つ目に、市民の安全安心・暮らしと営業を支える施策を抜本的な引き上げが必要不可決です。ここでは市民の願との関係で特に4点指摘します。
 
 第1に、セーフティネットの抜本的拡充です。本市の民生費は近隣10市中でも最低水準となる一方で、保育料は東葛地域で一番高く、重い負担を市民に求めていることから、福祉水準を全体で押し上げる必要性がまず本市につきつけられています。そんな中で生活保護では、相談に来れば、まず申請書を見せ、申請の意思を確認する窓口対応を強く求めます。またいかにして生活保護へ移行させないのか、全庁挙げた取り組みの強化を予算審査時同様に求めます。
 所得減少も離婚増加も明白なのに、保育料減免制度の利用者がたった2人というのは、生活保護の増大からも、さらには行政手続法上も制度周知の徹底、基準の明確化を怠っていたのではないかと指摘します。就学援助についても受給家庭の8割が生活保護へ移行している実態は軽視出来ません。わずか1500万円あれば、PTA会費、生徒会費、部活動費への支援ができまず。生活保護の前に手を差し伸べる横断的な施策充実を求めます。

 第2に、放射能対策では、低減計画、除染実施計画と「策定が早かった」と固辞しても、評価するのは市民です。私は、この問題の出発点では、市長こそが抵抗勢力だったと実感をしています。昨年9月議会に約束した通学路除染は、いまだ実現していません。土壌についても先日発表された市民団体による自主的な調査結果に対し、「国の測定を裏付けたもの、正しい」と答弁するだけ。本市としてどこまで真摯に放射能汚染に向き合っているのか、大いに疑問です。
 そして外部被ばくにとどまらず、いまだ体験したことがない長期間による体内部からの低線量被曝に対し、健康相談だけ。半年たっても60数件という実績で安住しているのはいかがなものか。総括質疑では、一つの情報として提起した市内の女の子の尿検査結果で内部被ばくについて、「現段階では問題ない」という医師の判断結果を市長が読み上げられました。それは内部被ばくの事実を市として認定したこととなり、人によって摂取量や免疫力が異なる内部被ばくに対する健康調査をやらない理由はもうありません。実施を強く求めます。

 第3に、クリーンセンターの運転業務やリサイクル館の事業では井崎市政が進めてきた徹底した経費節減のしわ寄せがどこに向けられていたのかが明確になったといえます。公務労働は市民生活に直結しているだけに、仮に業務委託する場合でも、労働者の処遇悪化、不安定雇用に直結させない配慮が欠かせません。公契約条例の早期制定を求めます。

 第4に、リフォーム助成制度の創設です。市長が進める住み替え促進にも永住したい街の実現にもつながるとともに、「家全体は経済的に無理でもせめて1部屋ぐらいは安全に」という年金生活者の願いに応えること、「再投資を促す街」にもなります。やらない理由を並べるより、市民や市内事業者に笑顔が広がる施策の実現へ踏み出すよう求めます。

 そして理由の最後に、教育行政について一言申し上げます。
 いじめや不登校といった子どもを取り巻く事項以外にも、複雑でしかも様々な課題がそのまま、学校へ突きつけられる事態になっています。どれも特効薬があるものでも答えが一つというのもありません。だからこそ、子どもを中心に、学校・家庭・地域・行政が力を合わせ、連携し、積み重ねる努力が一層重要だし、市教委は現場の移行や願いに沿ったこれまで以上に取り組みを提起します。

 原則公費という学校備品に対する義務や、また子どもの人格形成に何が優先されるべきか、その理想を追求する教育現場であるからこそ、十分な予算配置と同時に、経費節減という行政上の成果や都合で、PTA依存や安易な教材費への上乗せを強めることは強く自制を強く求めるものです。

 さらに併設校の説明を聞くたびに、そもそも学区編成や学校の適正規模に対する本市の見解、また児童生徒の将来推計が公表される前から、併設校の規模が決まっていること自体おかしいではありませんか。
 フレキシブルで斬新な校舎改装計画や、オープン教室の小規模校への導入計画、小1〜中3まで50クラスの学校運営が適正なのか…併設校計画は教育委員会だけの問題というより、市長サイドの政策判断や財政計画なくしては成り立たない課題解決に直面しています。
 市長の政策的判断を色濃く反映させた併設校計画の正当性・既存学校との格差是正を責任もって説明しぬく義務は市長にこそあると指摘し、決算への反対討論を終わります。

ページのトップに戻る  小田桐議員の活動