学生のみなさんからのご質問にたいするご回答
学生のみなさんから、研究課題に対するご質問があり、以下ご回答しました。
(問)
政党の政策を議員の皆様がどのように持っているのかを調べたところ、医療・福祉に関する公約を掲げていることが分かったので、その内容と具体的な取り組みについて。
(回答)
忙しい学業のなか、看護対象となる市民の日常生活に関心と考察を深め、その背景にある政治に高いアンテナを張ろうとされている姿勢に、高く敬意を表します。
以下、ご質問にお答えいたしますが、分かりづらい点や、疑義が残る点がありましたら、いつでもご連絡いただければ幸いです。
医療・福祉に関する公約として、結論的に一言でいえば、「現政権下で進められている社会保障費の連続的な削減や各種保険料・窓口負担の連続的な増大を中止し、医療・介護・年金などの社会保障費全体を優先的に拡充し、中・長期の展望をもって医療・介護と公衆衛生の基盤を強化・充実する」という立場です。
まず「住み続けられる住まい」という点では、学生のみなさんの考察(住まいは健康や生命に深く関わっている)と同様に、私たちは、住まいは人としての「土台」であり、基本的人権と捉えています。したがって、現行の生活保護等のセーフティネットの積極的活用にとどまらず、公営住宅を増やすことや、生活保護における住宅扶助(現在流山市内では、単身者世帯の基準額は月41000円(2013年頃は月46000円)の改善等、国全体として取り組む必要があると考えます。また現在、流山市では「住み続ける価値が高いまち」づくりに向け、緑豊かな「良質な住環境」と美しく楽しい「快適な都市環境」を目指しています。結果的に、土地価格が高騰し続けており、TX沿線では一定上の経済力がなければ住み続けられない街、後期高齢世代まで住宅ローンを返済し続ける街へと大きく変貌し、今後、学生のみなさんが危惧されていることへの対応が不可欠と考えます。
「安心して生活できる年金・貯蓄」という点では、私たちは物価上昇に応じて「増える年金」に切り替えるべきと考えます。
今、年金・貯蓄というと、「個人の備えの問題」、「本格的高齢化社会を迎え、老後の貯蓄として2千万円は必要」などの意見を耳にしますし、若い方からは「自分の代では年金も貰えない」という悲観的思いもお聞きします。私たちは、それら個人の問題や責任というより、年金と密接不可分な賃金そのものが「30年も上がらない」となっている国の政策的失敗が根本的課題にあると考えます。そもそも年金だけにとどまらず、医療・介護・保育・障害者福祉・生活保護など社会保障の充実は、憲法25条が規定した国の直接の責務です。また社会保障の充実は、広く国民のくらしの安心と、ケア労働の質的向上・人材確保等につながり、しいては経済の好循環や社会保障費の財源の安定にもつながります。税金を使う優先順位を高め、「安心して生活できる年金」を確立します。
最後に、流山市地域福祉計画策定にともなう市民アンケートで、「保険支援・地域医療・体制充実」、「高齢者への支援充実」が高くなっている背景について一言加筆いたします。記載した国の政治とともに、地方自治体の姿勢にも原因があります。
「指標で知る千葉県2020」によれば、47都道府県中、県民一人当たりの社会福祉費は46位、県民一人当たりの老人福祉費は47位となっています。
また、年報「流山の保健・福祉」によれば、国の制度(後期高齢者医療(老人医療保健)及び介護保険)への市の拠出を除く市単独の高齢者一人当たりの予算は、2006年度10,702円から2022年度は3,646円と6割減となっています。こういう取り組みの弱点もしっかり光を当てることで、計画的に、継続的に改善し、「保険支援・地域医療・体制」や「高齢者への支援」への安心につなげられる取り組みも同時に必要と考えます。