日本共産党流山市議団
活動紹介
自治体学校in吹田(7月23日〜25日)
変容させられる自治体職場と公務労働の考え方(分科会レポート)
小田桐たかし
 7月23日〜25日まで、大阪・吹田市で開かれた自治体学校は、「構造改革」による地方自治と住民福祉破壊への反撃の足場となりました。流山市議団も全員が参加し、9月議会をはじめ議会の活動や論戦に生かされています。この集会で、何を学んだのか。小田桐たかし議員のレポートをアップします。

 参加した分科会『変容させられる自治体職場と公務労働の考え方』では、鹿児島や仙台からの参加も含め、100名近い自治体関係者や地方議員、市民らが自治体職員の実態や住民サービスの変質、背景など活発な論議や情報交流を行った。

 助言者である城塚健之弁護士は、企業の税負担軽減とビジネスチャンス拡大を進める構造改革の姿やその手法、公務員制度改革の内容、公務の市場化の実態が報告された。

 流山市の実情と対比してみると、井崎市長就任当初に、わが党との懇談で「役所は企画部門だけで良いと思っている」と発言し、その後、まちづくり戦略会議の立ち上げ(財界要求の公務執行に変質)、民間人の課長職投与(官民交流)、アウトソーシング(市民からの事務事業提案の募集)・定員適正化(H21年度までに12%(当初は15%)の職員削減)の促進、それに伴う非常勤職員・嘱託職員の増加(官製ワークングプアの増加)、公務の市場化(小山小学校・福祉会館の移転・複合施設建設にPFI導入、指定管理者制度の導入(現在18施設)、公会計制度導入、十太夫児童館の民営化、公立保育園の民営化計画)と矢継ぎ早に進めてきた。さらに、トップダウンを強め、人事管理は人事評価重視へ、省庁キャリア派遣(環境省)の受け入れ、自治体労働を担うNPOの立ち上げを進めてきている。

 城塚氏の(1)市民にとって、利用者にとってどうかという視点が一切ないこと、(2)“自治”といいながら、草の根から沸き起こる要求ではないこと、(3)地方分権に逆行しているとの指摘や、公務労働の変質が(1)住民のいのちと安全、(2)本当のコスト削減になるのか、(3)人権保障や文化の水準低下、(4)倒産・撤退で振り回される自治体と住民、(5)地域経済の疲弊、(6)個人情報漏洩のおそれ、(7)特定企業との癒着・不正のおそれ、(8)自治体の変質、(9)労働者の権利切捨て等へつながるとの警告に、今の市政の実情の認識を深めるとともに、『公務員制度“改革”の本質〜流山市盤〜』の作成、市民と職員一体となった本当の改革の必要性を一層感じた。

 木村雅英自治労連・自治政策局長は公務労働・公共労働の変質と住民が“生きること”の保障との関係で発言された。特に、北九州市での生活保護行政(申請できず2名死亡)、ふじみ野市の市営プール事故(1名死亡)から、憲法15条2項「全ての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」、25条2項「国(公務員)は全ての生活部面について、社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」との文面を引用し、今の政府・財界の攻撃に黙っていないで、声を上げる必要性を強調した。

 各地からの報告では、「東京都における税務行政と成績主義」、「正規も非正規も公務労働を担っている(三重)」、「指定管理者アンケートの実施(京都市)」、「福祉労働の働き方でシンポジウム開催(京都)」、「非常勤裁判の意味するものは(枚方市)」などがあった。

 特に、財務行政の現場では、電子システム(東京の場合「TACSS」)の導入で、ボタンひとつで差押調書の作成、住民票・貯金・生命保険などの照会ができることには驚いた。しかもそれを、成績主義に組み込むため、職員は、滞納者との接触と交渉、的確な納付能力判断、徴税職員としてのプロセスよりも、一人何件処理できるかが競争させられている。これは、東京だけでなく、横浜市では、223人の徴税職員の順位が発表され、上位10人に感謝状+図書券が配布されている。静岡県では、処理件数の多い人を一時金(勤勉手当)で評価するとしている。これでは、納税者の生活実態への配慮や人権、職場内での協働よりも自分の成果優先となり、『公務』労働が崩壊しかねない。

 流山市でも、現在、本市の収税課(課長含13名(臨時1名))では、収税係(7名)は8415件(一人当たり1202件)、特別収税係(3名・滞納額50万円以上)は467件の収納に当たり、納付期限後1ヶ月(法的には20日間)で『督促状』を発行し、2回の納付期限後も支払いがない場合は『催告状』を発行、翌年に『差押予告』とシステム化されている。そのため今年度は、これまでの収納システムに滞納システムを加え、東京都同様に徴収業務を進めている。以前、一般会計予算・決算委員会での審議で、収税課長が「効率を上げろと言われても無理と言う段階まで効率化している」とし、納付日を1日でも遅れれば『督促状』『催告状』の発行、情け容赦ない取立て、差押が強化されてきた。以前、84歳の女性から「息子が蒸発し、家も借金の担保で取られた。どう生活すればいいのか」との相談があり、家を訪問した際、市税も含め多重債務を一括ローンで返済し、その一括ローンが焦げ付いたことが原因であると発覚し、是正が図られることとなったことを、報告を聞きながら思い出した。

 引き続き、市民の目線で行政改革の内容を告発するとともに、市民の安心と市職員のやりがいを実感できる市政への転換に全力をつくす決意です。
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