日本共産党流山市議団
活動紹介
自治体学校in吹田(7月23日〜25日)
自治体の公共サービスの民営化を考える(分科会レポート)
高野とも
 7月23日〜25日まで、大阪・吹田市で開かれた自治体学校は、「構造改革」による地方自治と住民福祉破壊への反撃の足場となりました。流山市議団も全員が参加し、9月議会をはじめ議会の活動や論戦に生かされています。この集会で、何を学んだのか。最初に、高野とも議員のレポートをアップします。

1、自治体の公共サービスの民営化を考える

 100人余りの参加者中6割が地方議員、4割が自治体職員という分科会であった。この分科会の論点整理として、(1)コストが低いことが住民利益になるかというコスト論。(2)住民サービスの質について、民が官と変わらなければいいのか。(3)民主制、平等性について、企業努力・競争性でサービスは向上するのか。の3点が提起された。

 まず、フリーランスジャーナリストの藤田和恵氏が「公共サービスが崩れてゆく 民営化の果てに」と題して基調報告を行った。雑誌、新聞記者の経験から具体的事例を報告。年収200万円前後の非常勤国家公務員が増えているが、厚労省の非常勤職員が初出勤で仕事の引き継ぎとされたのは、古い茶封筒を渡されたことだけ。この中に残留邦人の鑑定同意書があったことがスクープされた。霞が関では正規、非常勤、派遣、請負が混在し、非常勤が公文書や国会関連資料の作成など正規職員の代わりをしているが、半年後には職場にいない状況である。また民営化された郵政では、正規と非正規のみぞが日々深刻になっている。ほぼ同じ仕事をしていても非正規の給与は半分から3分の1。スニーカーは正規には支給されるが非正規は自前。配達などに使うバイクも正規は90CCだが非正規は50CCなど、無意味な格差が作られている。介護現場では、労働条件が悪化し、サービス低下、虐待の増加なども深刻である。
 あらゆる分野にあらゆる手法で民営化が進んでいる。誰が得をし儲かるのかと言えば、政治家と大企業だが、一般市民はわからないしどう住民に影響するのか知らされていない。公務員への風当たりが強まる中、独自のたたかいになってしまう。
 一番言いたいことは「公務労働における労働条件の低下は、住民サービスの低下に直結する」ということ。そこで今後どうすればいいのか。(1)正規と非正規の連携を。(2)安定的な雇用の確保。(3)若い人を中心に労働者、公務労働の権利・役割などの知識を教える。(4)公務員バッシングに対しては毅然と言うべきことをいう。(5)党派、ナショナルセンターの違いを超えること。の5点を指摘した。

 続いて、消費生活専門相談員16年の大久保育子さんが、すべて非正規職員でがんばっているが、1年更新を繰り返しながら賃金は変わらない。相談内容が複雑になってきて法律など専門的な調査・研究が必要だが、休みの時にしかできない。相談者を救済できてすごく感謝されることで仕事が続けられると報告した。

 広島自治労連の西倉成司さんは、広島市が247施設の指定管理者公募を決めたことに対し、専門性・特殊性が損なわれるとたたかい、議会も見直しを求める決議をあげるなど流れを変化させている取り組みを報告。大阪の公立保育園で働くアルバイト保育士の小川久子さんは、民営化は反対だが決定された今、子供たちへの影響を少なくすること。保育士の労働環境改善はよい保育へとつながる。民間保育のよいところも取り入れてがんばると涙ながらに報告した。報告の最後に、横浜市従業員労組の相田伸久さんが、横浜は今や行革のデパートだと、保育所や給食などの実態を告発。市民との共同なくして勝てないと訴えた。

 討論では、議員の発言もあったが、多くが保育士をはじめとした自治体労働者だった。

 主な意見は、


 参加しての一番の印象は、以前に比べて自治体労働者の参加と発言がすごく増えたことがとてもうれしく、展望が持てた。事態は深刻だが、藤田さんがまとめて提起した中で、党派を超えてたたかうこと。「全体の奉仕者」である公務労働の役割と自治体労働者の権利をもっと広めること。が本当に重要だと感じた。流山市でももっと実態を調査するとともに、自治体労働者の声を聞き、実態に沿った提案に力を注ぐことが必要だと思った。

2、財政健全化法と自治体財政改革のあり方

 3日目の中規模教室。自治体の財政がどうなるのか、議会と議員の役割はと、約250人が参加。多くが地方議員だった。

 立命館大学の森裕之教授が財政健全化法をくわしく説明。自治体の本来の財政のあり方や議会の役割などを解明した。小泉構造改革の柱である三位一体改革で地方はまんまとやられたが、地方財政制度は何とか守られた。しかし、夕張ショックをきっかけに財政健全化法が作られた。健全化法の特徴として(1)財政の健全性を判断する4つの指標の導入。(2)4つの指標のうち1つでも基準以上となれば早期是正の対象となり、財政健全化計画の策定が義務付けられる。(3)個別外部監査契約の義務付け。(4)一般会計だけでなく特別会計、公営企業会計、一部事務組合、広域連合、第三セクターまで対象に。(5)議会と監査委員の役割が拡大し、責任が重くなる。などと分析。これは、中央統制が強化され、「夕張のようになるぞ」とイエローカードを突きつけ、人件費や住民サービスカットなど自治体リストラを急速に進める。議会や住民による統制が困難になり地方民主主義の形骸化を引き起こす。外部監査によって企業的効率性の視点が高まり、公共性の視点が軽視され、自治体財政の歪みを引き起こす。と指摘した。

 そして今、新自由主義的な自治体財政改革が地域住民の暮らしを破壊し始めているが、このような政策が格差社会を生み出していることを多くの経済学者が明らかにし、地域の生活を守る広範な運動を生み出しつつある。自治体と住民による「身内」的な対立を超え、広範な連携で告発・運動を推進する必要があると訴えた。また、議会は財政健全化計画を議会で議決し、毎年チェックすることになり、議会の役割を大きく変えることになる。議員は財政再建を進めながら住民要求を実現するという矛盾に突き当たるが、自治体締め付けの中で、なぜこうなっているのか住民にわかりやすく情報提供し、財政の何をカットすればいいのか、自分たちのまちをどうするのか、住民とともに考えることが重要。本質をつかむ学習会が大事だと結んだ。

 基本的な問題点を学習できてよかったが、市議団として十分な学習と具体的なとりくみについての議論、とくに市政・財政分析をすすめるための力をつける必要性を強く感じた。
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