日本共産党流山市議団
活動紹介
〜コムスンの現場からの告発〜
“介護=カネ”の世界に未来はあるのか
 7月17日、社会保障推進流山市協議会第3回幹事会が開催され、元コムスン柏センター所長のMさんから、介護現場の実態について講演をお聞きしました。当日は、日本共産党流山市議団から小田桐たかし市議が参加しました。

自分の介護で喜んでほしい

 Mさんは、デイサービスや訪問介護の現場で5年間働いた後、ケアマネージャーの資格を取って、自分がケアプランを作った人の介護をして、喜んでほしいとの夢の実現にコムスンに就職しました。
 ところが現実は真逆。「売り上げ主義の徹底と人を蹴落とす職場風土、介護=カネの世界があった」と指摘。『純増4』(月4人の新規利用者を開拓すること。介護保険利用者は入院や施設入所、死亡により月10%程度自然減少する調査結果から、利益を上げる分析から算出したもの)、『ルート単価』(1日当たりの売上)、『追い込み』(サービスの過剰提供・新規拡大)という言葉が飛び交い、所長は介護の現場に行かず、営業ばかりです。帰りはいつも夜中12時過ぎです。早朝5時から在宅ヘルパーを行い、そのまま夜中まで所長業務につき、最後に『一日営業報告書』作成したことも多々あります。
 

介護=カネ

 そこまで働いても、手取りは月24万7千円です。これは、タイムカードではなく、職員の出退勤を所長がパソコンに打ち込む労働管理が行われ、記録には9〜18時までの勤務で、後はサービス残業だったのです。ボーナスはなく、全て成績主義の報奨金制度です。
 月2回の所長会議では、徹底した序列化がおこなわれ、成績が悪いと、イスも与えられず正座、質問しても無視されます。強烈な“みせしめ”をおくことで、「もう二度と経験したくない」「俺はなりたくない」とのプレッシャーを出席した所長に植えつけます。そのため、1ヶ月の運営費のうち利益25%以上、人件費62.5%以下という所長目標の達成のために、「介護サービスの過剰提供や労働時間の操作もした。また、他の所長が失踪したり、病気したらホッとしていた。今考えるとホントにダメな人間で、ずっと後悔している」とMさん。また、報奨金で400万円貰ったというケアマネジャーの友人は、『3条件』(生活保護・独居・認知症)で、不必要なサービス提供し、限度額目一杯のケアプランを作成します。「お客様のため」と言いながら、利用者の希望よりも、コムスンが提供しているサービス以外は「あなたの症状に合わない」「それよりこっちサービスがためになる」と言い訳し、介護サービスを使わせないようにしていたことなどリアルな実態を告発しました。
 

コムスン病からの脱却

 Mさんがコムスン病から“抜けられた”キッカケは、透析患者さんが夜中に、『明日、透析するために頼んでいた病院までの送迎サービスは要らない』との断りの電話でした。「ちぇ」っと舌打ちした自分が、時間が経つにつれ情けなくなりました。「なにやってんだろう」―そう思ったMさんは、透析に行かなくて大丈夫なのかと考え直し、折り返し電話をしたのです。電話の向こうからは「様態が悪くなって、今救急車で運ばれた」との声が返ってきました。「無責任だ」など罵声をうけながらもMさんは退職したのです。
 

お客様のためから利用者のために

 「社会にでる資格がない。人に会いたくない」と家でゴロゴロしたり、仕事も日雇いで、倉庫業などもしました。祖父母や親戚の応援、早くに亡くなった母親が介護職場での就職を何よりも喜んでくれたことを励みに、もう一度やってみようと奮起し、再び、介護現場に就職。小規模多機能ホームの所長となり、昨年、念願のケアマネージャーの資格を取得したのです。Mさんは「今は利用者のために、自信を持って仕事ができています。働く喜びを実感している」とイキイキした目で話しました。


 参加者からは、「ホントにいい話が聞けた。民間参入で予想通りのことがおきていた」「介護=金というところが間違っている」「もうけを追求しなければ事業が淘汰される制度や環境があり、事業運営者にしてみれば、そうしたくなくてもそうさせられている」「六本木ヒルズに住み、贅沢三昧の経営者の一方で、苦しみ人間性を壊しながら低賃金で働く現場労働者、失踪したり病気になった労働者とのコントラストがなんともいえない」との感想が聞かれました。
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