日本共産党流山市議団
活動紹介
第33回千葉県自治体学校、分科会「地産地消と学校給食・食育」で
高野とも議員が小山小PFI事業について報告しました
 「第33回千葉県自治体学校」が2月18日に千葉市で開かれ、日本共産党の高野とも市議が「分科会 地産地消と学校給食・食育」に参加。流山市の小山小学校等のPFI事業と給食の民間委託について、現状と問題点を報告しました。(報告内容は以下の通り)

 農業従事者や県職員、調理員などが集まり、それぞれから報告がありましたが、子どもが開発の犠牲になる流山市の事業について、とくにお墓の上に立てられる計画に参加者からは驚きの声が。また、流山市と同様、学校給食の調理業務東洋食品に委託しているある市の調理員さんから、なかなか市の指示通りにいかない、調理器具の手入れが悪い、などの実態が報告されました。

 PFI方式の給食をはじめ、どんどん民間委託化される給食。直営でこそ、地産・地消ができ、地元農業の活性化もできることが、君津市などの具体例で示されました。農家や自治体、議員などみんなで力を合わせての運動が必要だと確認しました。



第33回千葉県自治体学校「地産地消と学校給食・食育」分科会への報告
                                        
日本共産党流山市議 高野とも
 
1、小山小学校校舎建設等PFI事業について

 2005年4月、流山市は「PFIを導入した小山小学校等の建設に向けた指針」を発表。つくばエクスプレスの流山おおたかの森駅前にある市立小山小学校が、沿線開発の商業地域にあるため移転が必要だとして、流山市は小山小学校の移転と建設事業をPFIですすめることを決定した。移転する場所は墓地と鉄道高架橋に囲まれた土地、学校のほか福祉会館、学童クラブなどを併設する複合施設となる。市は06年7月に「実施方針」、同10月には「業務要求水準書」(業者に示す仕様書)を発表。07年6月〜09年2月までに設計・建設を行い、同4月から供用開始、維持管理・運営期間を20年間としている。

 私たちは、以下4点の理由で計画の中止を求めている。
(1)子どもが開発の犠牲になる。「商業地域に学校があると不経済だ」という答弁に象徴されるように、開発による利潤追求ありきの歪んだ市政の表れである。
(2)「官から民へ」の流れを本格的にする。教育・福祉施設の建設から維持管理まで民間に丸投げでは、公的責任の放棄である。
(3)巨額の税金投入になる。建設事業費だけでも43億円。PFIによるVEMは10%と言うが、根拠はない。小山小学校より老朽化し、耐震改修を待っている学校が残されている。
(4)市民不在である。教師・保護者・地域住民の意見はほとんど反映されず。巨額の税金投入となれば全市民に問うべきである。

2、PFI事業による学校給食について

(1)業務分担は、食材の管理・調理・配膳・洗浄・安全衛生管理が業者になっているが、市が分担する献立の考案・食材の調達・個別対応には「事業者はサービスの質の向上や効率性の改善のため、市に対して適切な助言を行う」とある。手間のかかる献立やアレルギー食など効率性に逆行する調理が拒否されかねないし、当局が「献立も食材の選択も栄養士がやるから、公的責任は果たせる」と言ってきたことを、自ら否定する内容になっている。また、この記述は労働法制に照らして問題が起きないようにするためのものと言える。
(2)入札参加資格があると確認された4つのグループには、建設会社、警備会社、ビル管理会社などが並んでいるが、これらの企業に学校給食法の4つの目的が果たせるという保障は示されなかった。
(3)学校給食は教育の一環であり、献立作成から食材の調達、調理、配膳、後片付け、給食指導、栄養指導まで一貫性が不可欠。ところがPFI事業による給食は、この流れを分断し、財政優先の運営、経営主義によって給食の担い手が行政から企業に移ってしまい、公的責任の放棄につながる。事業全体を見れば、学校開放や福祉会館など利益を生み出すことは難しく、給食が最大の利潤追求になりかねない。当局は「最終的にPFI業者に押し切られた」と答弁したが、この事態こそ民間優先、PFIありきが現れている。
 
3、流山市の学校給食民間委託について

 現在、小学校15校中13校が自校直営、2校が複合方式、中学校8項は複合方式であるが、2005年度から南流山共同調理場で、調理業務の民間委託試行を開始。直前になって当初の業者シダックスが食中毒を起こしていたことを報告していなかったことが判明し、急きょ東洋食品に。入札時の金額を下げて参入。
 この間、議会で何度も取り上げ、民間委託では教育としての給食が成り立たないことを指摘してきたが、当局は試行の問題点を検証しないまま、来年度さらに1ヶ所民間委託を広げることを決定している。
 
問題点―(1)子どもの教育を経済的なものさしで図っていいのか。また経費削減になるのか。
 「経済性優先だけではない」と言うが、検討委員会の論議は「どうしたら安くあがるか」であった。実施時、「1億円の削減ができる。これを他の教育費に充てる」としたが、教育費は学校の耐震改修を除けば削減されている。1年目は人件費中心に2,800万円の削減。一方、2年目の委託費は1年目と比べて約370万円高くなった。
 調理員の正規職員退職後は臨職に変え、現在正規57名、臨職25名である(栄養士は正規5名)。臨職の年収は100万円前後。職務専念義務があり、募集しても応募が少ない。
(2)公務員である栄養士と民間の調理員との連携は強めるほど法律違反になるのではないか。
 調理業務の民間委託は「請負」であることは当局も認めている。職業安定法では、請け負った業者は「事業主として財政上、法律上のすべての責任を負う」となっているが、当局は「栄養士が献立をたて、食材も発注する。指示書に細かく書いて責任者に渡し、責任者から他の調理員へ周知徹底しているので法律違反ではない」としている。
(3)給食の質の低下やアレルギー食など個別対応ができなくなるのではないか。
 東洋食品は、沼南で輸入食品や加工食品を給食に使っている実態がある。流山市では資料上はないが、開始直後味が変わったなどで子どもたちに不評だった。また当初、チーフが短期間で入れ替わった。

4、日本共産党と住民運動の取り組みについて

 市議団は計画が発表されて以来、毎議会で取り上げ、PFI事業の問題点を告発し、追及してきた。12月議会では、入札に名乗りを挙げている企業の中で全国で指名停止を受けたり、食中毒を起こしている業者を告発。当局は答弁不能になった。その中の業者が落札した市役所第二庁舎建設議案が、全会一致で否決された。この間、2度にわたり全戸ビラを配布。
 昨年夏に日本共産党が住民団体に呼びかけて「小山小学校等移転と教育・福祉を考える連絡会」が結成され、11月にシンポジウムを開催。計画の凍結を求める署名運動を展開。12月に流山市と、今年1月に区画整理事業の施行者である都市機構と交渉。12月議会には、各団体と連絡会で様々な角度から疑問を投げかける5本の請願・陳情を提出。それぞれ意見陳述し、他党がほとんど発言しない中で、共産党は3時間にわたる論戦を展開。採択を主張したが、共産・社民以外の反対で不採択となった。
 PFI事業に対する住民運動は、全国的にもあまり例がないというが、1月12日の議会代表者会議で、PFI参加業者グループ4社のうち、3社が辞退したとの報告があり、住民運動の成果だと評価している。このままでは担当職員も漏らすように、PFI事業として成り立たなくなる可能性が大きい。引き続き運動を強化し、事業の中止を勝ち取りたい。
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